Sunday, Monday, Tuesday, Wednesday, Thursday, Friday, Saturday, 11-21-2005
いつものように、さらさらっと asahi.com でニュースを読んでいたら、「小学生のアトピー、昼休みシャワーで改善 厚労省研究班」という見出しの記事があった。小学校で、昼休みにちょこっとシャワーを浴びたらアトピーが改善された、というニュース。以下は記事の抜粋。
そこで、望月さんらは昨年と今年、症状が悪化しがちな6~7月の6週間に、群馬県内の小学校7校の協力を得て、アトピー性皮膚炎の児童延べ53人(平均8.8歳)を対象に、平日の昼休みに3~5分ほど温水のシャワーを学校で浴びてもらい、効果を調べた。 ・・・ 全身を25の部分に分け、場所ごとに強い症状は2点、弱い症状は1点、症状なしは0点と、計50点満点で評価したところ、全員が改善し、シャワー実施前は平均11.2点だったのが6週間後には4.0点と、7.2点も症状が軽くなった。
汗とかほこりがアトピーの症状を悪化させるらしいので、シャワーを浴びるというのは、きっと効果があるんだろうね。でも、この調べ方じゃだめ。
症状を評価しているのは、研究しているグループの人だろうから、どんなに正直にやっても、評価に偏りがでる。シャワー前はちょっと悪い点をつけて、シャワー後はちょっと良い点をつける。評価するのを、この研究に直接関係ない人にしても、「シャワーを浴びたら症状がよくなるはずだ」という先入観があれば、それが評価に影響される。
他にも頭痛薬や、しわとりクリームなど、効いてるかどうかの判断が「見た目」のものの評価は非常に難しい。
正式な臨床試験では偽薬(プレシボ)を使うけど、このアトピー・シャワー研究の場合は難しい。でもきちんとしようとしたら、この 53人の小学生をランダムに、シャワーを浴びるグループと浴びないグループに分ける必要がある。
改善があるない、を評価する人が、どの小学生がシャワーを浴びたかどうかわからないようにする、というのも重大なポイント。そうしたら、「えぇと、シャワーを浴びて、ちょっと症状が軽くなっているべきだから、この子は 2点と 1点の中間だけど 1点にしよう。だって良い結果出さないと、論文だせないしな」というずるはできない。別にずるした、とは言わないけれど、正確に正直に判断するのは難しいだろうね。
2グループに分ける実験をちゃんと正直にやったら、少なくとも「あんた、自分が立てた仮説に都合のいいように症状の評価をしているのではないか?」という疑問はなくなる。
こういう記事を読むときは、研究結果を 3割引くらいで読むのがちょうどいい。