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1963年.ヨーロッパ共同体がアメリカからの冷凍鶏肉の輸入を制限するために非常に高い関税を課した.
そんなことをされてだまっている訳にはいかないので,アメリカもヨーロッパからの輸入品に莫大な関税をかけることにした(フランス産のブランデーなど).その中のひとつにピックアップトラックおよびヴァンも含まれた.ドイツのフォルクスワーゲンが狙いだ.はっきり言って,直接関係なかったのに,急に25%もの関税を支払うことになったフォルクスワーゲンはただの被害者でしかない.
ちなみにこれに当てはまらない車にかかる関税は2.5%だ.
俗に言うこの chicken war はその後治まったけれど,この25% の関税というのは実は今もまだ存在する.アメリカでの外車の割合は 60% を超えるけれど,この関税の対象となるピックアップトラックの外車の割合は 40%弱だ.1990年にはわずか 10% だったということだ.
こんな関税があったから,長いあいだアメリカの自動車メーカーは,トラックに関してはやや安泰だった.でも大型車に依存していたので,ガソリン代が高騰するようになって困ってしまっている.
1963年にフォルクスワーゲンのトラックの輸入を妨げるのが目的だったのだけど,もちろん近年はアメリカのメーカーも外国でトラックを生産してアメリカに輸出する.そうすると,この25%の関税の対象となる.
払いたくない.何か解決法はないものか.実はかなり素敵な解決法があった.
フォードがトルコで生産している,商業用の Transit Connect というヴァンの話.商業用のヴァンとして輸入すると関税は 25%だ.
そこで,後部座席と後部の窓がちゃんとあるワゴン車として生産して,ワゴン車としてアメリカにやってくる.2.5%の関税を払って税関を通ったのち,ボルティモアにある,とある工場で後部座席と窓を取り外されて,商業用ヴァンに変身する.その費用一台あたり数百ドル.関税25%だと一台あたり数千ドル.
細かいところはさておき,大まかに見て心温まるくすくす笑える良い話だ.ちょっとフォードのイメージアップ.アップしたところで何もないけれど.
特に最近のニュースではないのだけど,最近ニュースになった.Wall Street Journal に 載っていた.