Sunday, Monday, Tuesday, Wednesday, Thursday, Friday, Saturday, 01-25-2006
先日、ドン・ベリーに会った。誰じゃそりゃ?統計学の世界では有名な Donald Berry 教授。うちの大学を訪れていたので、無理をして 45分のミーティングの時間を作ってもらった。Don Berry と 45分のミーティングをしたと言ったら、うらやましがる人がたぶん 100人くらいはいる。かもしれない。
彼は Bayesian (ベイジアン)と呼ばれる統計学の宗派を代表する統計学者。
統計学には Frequentist と Bayesian という二つの考え方がある。考え方が重なるところも多くあるけど、結構基本的な所でこの二つの考え方は一致しない。哲学的な要素も多いので、「宗派」っぽい。
で、僕は基本的に Frequentist なので、その道の専門家から Bayesian 側の議論を聞くことができて大変ためになった。
僕が専門的に研究している Adaptive Designs という分野では Frequentist と Bayesian の勢力はほぼ五分五分。ベイジアンになると、フリークェンティストが頭を悩ます問題が一挙に解決してしまうこともある。僕も以前、セミナーで発表して「今後の課題はこれこれです」と言ったら、「Bayesian だったらその問題は最初から存在しないよ、君ぃ」と言われたことがある。でも、だからと言って Bayesian に問題がないか、と言うとそうでもない。少なくとも僕はまだ納得できない部分が多くある。
うちの学部では Bayesian はちらほら。でも学部長が惚れ込んでるから、だんだん勢力を増してきている気がする。
大学によって Bayesian かどうかはだいたい分かれている。Harvard, Carnegie Mellon, Chicago などが Bayes の代表格で、Berkeley が Frequentist をひっぱる。ヨーロッパ(特にイギリス)では Bayes の勢いはアメリカよりも強いらしい。
あと 30年もしたら、Frequentist は絶滅してたりして。あるいは生き残った少数派が秘密結社を作っているかもしれない。Closet Frequentists だ。
コメント
僕もFrequentistですが、政治学の世界でも段々Bayesianの声が大きくなってきてるようです。といっても、Bayesianの方法を習える大学院はかなり限られているので、job marketに出てくる人々の中でBayesianは極めて少数派で、そういう人はいい就職をするようですが、なかなかその数は増えないようですね。政治学においては、Bayesian対Frequentistが対決するというよりは、Bayesianがその利点とFrequentistの問題点を一生懸命議論するのに対して、Frequentistの99%はその論争自体に興味がないし聞く気もないという構図でしょうか。Frequentistをやっててはpublishも就職もできない、という時代が来ればみんなの意識がガラッと変わるんでしょうが、まだまだ先でしょうねー。
前田さん、こんにちは。
なるほど、政治学では Bayesian の台頭はもう少し先になるようですね。ふぅぅ。
医療統計の世界では、Bayesian はかなり認められています。臨床実験は全て FDA が定めるルールにのっとって行われなければならないのですが、少しずつ、Bayesian の解析も認められるようになってきました。Frequentist をやっていると、就職できない、にはほど遠いですが、Bayesian だとちょっと優遇される、という風潮はもしかしてあるかもしれません。Frequentist に加えて Bayesian も理解している、ということで。
僕も Bayesian の誘惑を無視し続ける訳には行かなくなってきました・・・
昨日good morning Americaを見ていたら「1月24日は統計的に1年で最も憂鬱な日なんだ」、と言っていました。ちゃんと見ていたわけじゃないので何を根拠にそういってるのかわからなかったのですが「統計」をどうやって行ったのかちょっと興味がありました。憂鬱な気分になる日はいつですか?ってアンケートしたわけでもないだろうし、単に自殺者が一番多い日なのだろうか。
どうやら、イギリスの心理学者が作り上げた計算式の計算結果みたいですね。
天気、借金の額、月給、クリスマスからの日数、転職失敗した日からの日数と、あと二つ訳わからん変数を使っています。
どっちにしろ、ほとんど意味ないと思います。
ただ、それが数式で現されている、というだけで、Mathematical Formula と呼ばれて、数学的、統計学的に根拠のあるような扱われ方です。ま、センセーショナルなだけで、あまり害がないようなのでいいんですけど・・・
それとは対照的に、日本で一番天気がいいとされる11月3日は、「統計的に見て」です。数えてみたら11月3日が一番晴れの割合が高かった、というだけですね。