Sunday, Monday, Tuesday, Wednesday, Thursday, Friday, Saturday, 01-21-2008
ま,ほぼ誰も興味ないだろうけど,うちの癌センターの新しいディレクター (一番偉い人) が決まった.
ヴァンダービルト・イングラム癌センター (Vanderbilt-Ingram Cancer Center) は1993年に設立された.なんだか古めかしい写真だけど,たかだか15年前だ.写真の左から二番目が初代ディレクターのモーゼスさん.2005年にディレクターを辞めるまでにかなりの実績を残した.生物統計の地位を確立してくれたのも彼の大きな功績のうちのひとつだ.癌センター内では,良い研究をするには生物統計が不可欠でそれ相応の代価を支払わなくてはならない,というのがある程度理解されている.(統計なんて研究の最後の方でちょこちょこっと ただで できるもんだ,と思っている研究者は非常に多い.)
2005年にモーゼスさんの後を継いだのがDさん.モーゼスさんとは逆で,彼はあまり生物統計の価値を理解していなかったようだ.ちょうど戦争の影響などによる研究費削減(ま,頭打ち)と重なって,生物統計に回ってくる予算も以前ほどの伸びではなくなり始めた.そこまであからさまではなかったけど 「苦しくなったら生物統計から切っちゃえ」 とか考えていたかもしれない.生物統計センター長もかなり不利な戦いを強いられていた.
しかし運良くDさんが別の大学からヘッドハントされて1年ほどですぐ退任.その後,先週まで1年ほど跡継ぎが決まらなかったけれど,結局そのあいだずっと仮ディレクター (interim director) を勤めていた ピーテンポールさん に決定.生物統計センターとの関係も良好な人だ.初代ディレクターのモーゼスさんの教え子なので,モーゼスさんと仲の良いうちの生物統計センター長は,万が一の時はモーゼスさん経由でプレッシャーをかけられると言っている.ま,その必要はたぶんないだろうけど.
考えようによっては,ディレクターが誰かで立場が危ぶまれるというのはちょっと悲しい.ま,でもうちは生物統計としてはかなり恵まれている状況にあると思う.
アメリカの National Cancer Institute (国立癌研究所) 指定の Comprehensive Cancer Center は今日現在39ある.(Comprehensive というタイトルはNCI が定めるいくつかの領域で高いレベルの研究を維持していないと取り上げられてしまうので,その数は変動する.) Vanderbilt も2001年に comprehensive のタイトルを獲得しているので,そのうちのひとつだ.
癌センターのディレクターが MD じゃなくて PhD というのは珍しいんじゃないかな?と思って調べてみた.ピーテンポールさんがそうなので.NCIのページの リスト によると,39人中4人だけだ.だから何だ,と言われると困るんだけど.さらに女性というのは珍しいんじゃないかな?と思って調べてみた.ピーテンポールさんがそうなので.もうひとりいた. だから何だ,と言われると困るんだけど.